疲労戦での兵法

ひとはふいに
どこかへ行ってしまいたくなるときがある

厳しい現実を受け止められず
ドロップアウトしたくなる

過労死が話題となっているが
ひとは肉体的な疲労だけでは死なない


充実感、希望に満ちていれば
疲労を克服するチカラを授かる

プロジェクトXに出てくる技術者たちは
何日も寝ていなくても
目の輝きを失うことはない

古き良き時代には
地上の星があちこちで輝いていた



輝きを失いつつある日本

これから先
見えざる敵との戦いは
日を追う毎に激しくなっていく

そんなとき
自分の戦力を冷静に見極めたい



明らかに勝てそうもない敵には
正面からぶつかってはいけない

それ以前に戦ってはいけない


時には逃げる勇気も必要だ

完璧にこなして完勝するよりも
カッコ悪くても、笑われても
完敗しない生き方をしたいものだ


孫子の兵法

いまこそ必要なバイブルだ

器(うつわ)

万物は有限である

有限ということは
そのなかに入れられる量にも
限界がある

限界を超えると溢れ出る


目には見えないが
ひとにも器がある

前作でも少し触れたが
昔の日本人は器が大きい
親分みたいなひとが多かった

僕らの祖父たちがその世代だ
戦前生まれの世代

荒れ野原から立ち上がり
社会のため
家族のため
そして
未来のために必死で頑張って
日本をここまで押し上げてくれた


彼らは少しのことでは動じず
部下や年下の者たちを
大らかに穏やかな目で見てくれる


そんな心意気、度量が
若い者たちのココロを動かし
活力を生み出す

一見、何もしていないように見えて
穏やかな顔で座っているだけなのに
存在感があるひとは近くにいるだろうか

そのひとこそ
本当の実力を持っている


チカラに余裕があるから
あえてアピールする必要はない
黙っていても皆は付いて来る

大きな器を手に入れるために
どんな苦労をすれば良いのだろうか

大きな器は天性の才能がなければ
手に入れられないのだろうか

選ばれし者にしか与えられないのか

いや、そんなことはない

縄文土器をつくるように
粘土を長く伸ばすように

こころを伸びやかに

ときには傷ついても
ときには立ち止まっても

螺旋階段を上へ上へと
登りながら積み重ねる

人は悲しみが多いほど
ひとには優しくできる

痛みや悲しみが模様となり
大きな美しい器となる

日日是好日

今日よりももっとイイ明日へ
明日よりももっとイイ明後日へ

広げよう
温かい輪を

エンゲル係数

昔から使われる係数

生活費に占める食費の割合


エンゲル係数が高ければ
生活がひっ迫していると判定される

果たして
本当にそうだろうか

確かに
ひとは飯を食べなければ
生きていけない

云わば、食費は必要経費なのかもしれない

だけど
食べるために働いているのだから
たまには贅沢なモノを食べても良い

美味しいモノを食べると
幸せな気分になり
活力が湧いてくる

高い服、高い時計など
形あるモノにお金をかければ
永きに渡って使い続けることができる

それに引き換え
贅沢な食事は
その場限りの投資であり
単位時間あたりのコストが高い

エンゲル係数が高くなるが
最高の贅沢と言える

ひとは豊かな気持ちにならないと
お金を活かすことができない

ひとは楽しい気持ちにならないと
お金をかける気力が起きない


そして
いくら楽しい気持ちになっても
お金が無ければ何もできない


出会いは突然やってくる

どうしても欲しいモノ

手に入れたいモノ

それらが目の前に現れたとき

余裕を持って追いかけられるように
常にどっしりと構えていたい


必ず手に入れたいものは
誰にも知られたくはない


係数では表せない
目には見えない
たいせつなモノを探しに行こう

頑張るとは

日本人は
とても頑張る民族だ

一番には家族のため
そして
自分を後回しにして
ひたすら頑張り続ける

ひと昔前は
そんな日本人たちが大勢いて
それなりに活き活きと暮らしていた

頑張れば報われる
頑張れば頑張るほど
豊かになるから頑張る

そして
それを上から見ていてくれる
親方のようなひとがいた

ときには
お金にならない仕事もあるだろう
だけど
親方のためなら頑張ってみよう

そんな風潮があった


しかし
ここ十年くらいで大きく変わった

親方が引退した2007年以降

自分を守ることに精一杯な
小さな大人ばかりになってしまった

社会の風潮が変わり
日本全体に余裕が無くなってしまった


若い頃に散々バカをやってきた
そんな大人たちが
少し偉くなった途端
今度は若者たちを追い込む

マネジメント、コンプライアンス

一見、響きの良い言葉を並べ
座り心地の良い椅子に座って
偉そうに説教をたれる

彼らの言葉は
何もココロに響かない

彼らのために
身を粉にして働くことはない


若者たちよ

頑張りすぎてはいけない
頑張るだけで報われる時代は終わった

大局を見て
頭を使って算段しよう

歯車

前に進むとき
動力を伝える歯車

凸凹の凹と凸が噛み合ったとき
モノにチカラが伝わり
前へ前へと送り出す

長い間、歩き続けていると
足下をすくわれるような砂利道や
登りきれるか不安な急坂が
進路の前に立ちはだかる


そんなとき

乗り越えるための
チカラを供給してくれるのが
人と人の繋がり
つまりは歯車の存在だ

ピンチが到来したとき
傷つき、すり減って
穴が空いてしまった
スキマを埋めてくれる

そんな存在を
たいせつにしたいものだ


何が正しい道かわからない時代

だからこそ
自分の信じる道に向かって
導いてくれる歯車のような
言い換えば
スポンサーのような存在を
たいせつにしたい

もしも
あなたの眼前に無かったとしても
不安に怯えることはない

自分には気がついていない

視野に入っていないだけなのだから

ふたつでひとつ

セットになっているモノ

世の中には単体ではなく
ふたつセットで存在しているモノが多い

手袋や靴下もそうだし
鍵だって
キーとシリンダーがあってこそ
機能を発揮するものだ

人も同じ

人という字は
ヒトとヒトが支え合ってできている

ひとりでは乗り越えられないことも
ふたりでチカラを合わせればできる

痛手を追ったときも
一方が癒やしてくれる

歓喜に満ちたときも
喜びを倍増させてくれる

永年一緒に暮らしているご夫婦を見ていると
時刻(とき)を共に刻み
お互いをリスペクトしている
深い絆が感じられる


祖父母たちの世代を見ていると
いまの時代が失った
宝物を持っているように思える


人生は宝探しの旅

混沌とする中から
一筋の光を
見つけ出すことはできるだろうか

光に続く長い一本道は
いつも僕らを勇気づける

とてもとても細い道だけど
いま、そこへ迎えに行くよ

たいせつなモノほど得難い
得難いからこそ尊いモノ

尊いモノだからこそ
寄り添いたい


ふたつでひとつ

忘れない目

目は口ほどにモノを言う

多くを語らない人も
目の奥の輝きによって
人びとを惹きつけることもある

目の輝きはココロを映す鏡

無垢な赤ん坊の目は
透き通って淀みがない

どんな仏頂面をしているひとでも
その姿を見ると
自然に表情も緩むであろう


しかし
時を重ねていくと
世間の淀みが見えてくる
その度に目の輝きが失われていく

いまに生きる人々は
忙しいのあまり
ココロを失っている

例えば
階段から滑り落ちるひとがいたとしよう

ひと昔まえであれば
多くのひとが足を止めて
心配してくれた風潮があった

しかし

いまは
多くのひとは何事もなく過ぎ去る
そして
迷惑そうな視線を投げかける
その目はとても冷たい

淀みきってしまった目からは
本来持ち合わせている
優しいや包容力が失われていく


嘆かわしいがそれがいまの現実


みなさんも経験があるだろう

自分がピンチに陥ったとき
世間の目はとても冷たい

僕もピンチのときに
投げ掛けられた数々の冷たい目
決して忘れない

でも
それが僕の原動力

逆境は
僕にチカラを与えてくれる

逆境は
僕に本当に大切なものを教えてくる

これからの時代
自分で山を乗り越えるチカラを
持たなければならない

乗り越えたとき
自信を持って前に進もうではないか


こうして得たチカラを
余裕に変え

優しい目で世間を見渡してみよう

もし
困っている人に出会ったら
優しく手をとってあげたい

誰が見てるか見てないかではない

自分の眼(まなこ)が澄みきっていれば
自然にできるはずだ

そんなことを自然にできるって
すごい爽やかで

なんてことのない行動が
この世界をまわりまわって
誰かの笑顔を作ってゆく

さあ
心を磨こう

そうすれば

淀んで見えていなかった
明るい輝きに
出会えるだろう

同じ景色

数十年ぶりの11月に
都心に舞い降りる雪

小さな頃なら
平日の朝に雪が降っていると
とても興奮しながら
外に駆け出していたことだろう

同じ景色を見ていても
それぞれ違うように映っている


いま、目の前にある景色は
単純に色の濃淡が現れているだけでなく
空気の匂い
感情の揺れ動きとともに
脳内で変化を繰り返している


よく晴れた雲ひとつない青空の下にいても
晴れ晴れとした笑顔のひともいれば
どこか憂うつな顔をしている人もいる


ひとは歳を重ねるごとに
これまでの積み重ねによって得た
常識や指標のようなものが
脳内にフィルタをかけている
それによって
感情がコントロールされている


しかし
そのフィルタが邪魔になり
純粋に楽しめなくなってきている


僕はそんなときには
これまで見たこともない景色をみたり
これまでにやったことがないことをやる

アハ体験をすることで
脳内をアドレナリンで満たし
新たな刺激を与える

初めて買った車で
諸国を走り回ったときの
あの楽しさと興奮はいまでも忘れない

慎重と臆病

僕はバリバリの保守的な家庭に育った

何をするにも
リスクばかり心配する親だった

最初のひと言は「止めなさい」だった

僕は精神的な基礎が育つ
小学生、中学生のときに
そんなマインドで生活してきたので
典型的な坊ちゃん臭のする
周りから見ると面白みがない
線の細い少年だったであろう

もしかすると
今もその影響が残っているのかもしれない

リスクを追って果敢にチャレンジするひとは
目がキラキラと光輝いている

そんな姿をただただ見ている臆病な僕


リスクをおいすぎて
苦戦を強いられてるひとは
苦渋の表情に満ちている

そんな姿を
安定したところから見ている慎重な僕


慎重と臆病

僕はこの両輪に支えられ
今の生活があると思っている


確かに
若い頃に無鉄砲に生きたひとは
人間的な魅力もあり、面白い


しかし
その代償を追う可能性が高い時代に
どうやって生きていくか

そう考えたとき
臆病くらいに慎重な考えが
結果的に自分を守ってくれている

こうして得た安定感は
ココロの余裕に繋がる

余裕こそ
次の攻め時において原動力となる

籠城するだけの人生はつまらない


ときには野戦もしてみたいものだ

先が見えないこの時代だからこそ
打って出るチャンスを掴みとりたい


いかに自陣のチカラを失わずに勝つか

戦国の世に想いを馳せる

守るべきモノ

皆さんには
身を呈して守りたいものはあるだろうか

いろんなひとはこう言う

人生はたくさんの荷を背負い
山道を登るがごとく
頂上を目指してゆっくりと前に進む
焦るべからず

ひとは何も持たずに産まれ
たくさんの荷を得る

つまり
人生の長い道中で
守るべきものを手にするのだ


欲しくて欲しくて
どうしようもない衝動から
攻めの姿勢で手にするもの

縁という不思議な糸で
つながっているもの

さまざまなものがあるが
歳を重ねるたびに
年月を経過するたびに
どんどん増えていく


しかし
ここで注意しなければならない

たいせつなものを得ると言うことは
それらを守るためのチカラがなければならない

己の力量を見誤り
過剰な荷を背負い
がんじがらめになってはいないだろうか

もしそうであれば
生活を見直し
ダウンサイジングしてみよう

つまり
荷を下ろしてサイズをおとすことで
これまでの重圧から解放されよう


これからの日本は縮小の一途を辿る

そんなご時世に

昭和の常識に縛られ
確たる道筋も描かずに
巨額なローンを背負うことは

自らに苦行を課している諸行と言わざるを得ない


大局を見て判断するチカラ

それを身に付けるには
仕事などに忙殺されるのではなく
さまざまなところにアンテナを
張り巡らせる活力が必要だ


たいせつにしよう

一緒にいると活力が満ちてくるひとを


たいせつにしよう

がむしゃらに頑張って手に入れたモノを