にごりのない人生
優等生のような
にごりのない人生なんてつまらない
傷ひとつない新品のような鎧には
何故か哀愁が漂っている
おてんばだった子供が
傷を重ねながら成長していくように
失敗の中からたくさんの知恵を授かる
挫折の中から強力なバネを授かる
絶望の中から光を見出だす
いまどきの大人は
大きな社会というキャンパスの上で
いかに目立たず
にごらず生きていこうか
押し潰されそうになっている
そんなときは立ち止まって
グラスに映る白い雲を見てほしい
自由に空を泳いでいるではないか
風に乗って泳いでいるではないか
にごりの無い空間には雲はできない
雲は塵というにごりが素になっているのだ
雲は空のキャンパスに描かれた作品
人びとを魅了する作品を作るには
ときには、失敗、挫折、絶望が
必要なのかもしれない
それが人間らしさの源だから
にごりのない人生なんてつまらない