氷山の一角
海に漂う氷山は
全体の1割しか海面に出ていない
残りの大部分は海中でおとなしくしている
まるで出番を待つ役者のように
世の中には目を凝らしても見えないものがある
見たくても見えないものがある
むしろ見えないもののほうが多い
わかってはいるが
どうしても見える部分で評価が決まる
それぞれの役者は
それぞれのステージに合わせた
衣装を身に纏って演じている
ときには合わないこともあるだろう
自分を沈めて耐えなければならない
ときには重圧を背負うこともあるだろう
重い鎧が体力を奪ってゆく
ボロボロになりながら演じ続け
降板する役者が後を絶たない
そうなる前にこう考えてみよう
演じ方を変えたほうがいいかもしれない
演じる場所を変えたほうがいいかもしれない
そこに留まるのは危険だ
固定観念にとらわれては危険だ
目ん玉ひんむいたって見えないものは見えないんだよ
by 座頭市