最後の1ピース

何かがうまく思い出せなくて
モヤモヤしたことないかい

顔はわかるのに名前が出てこなくて
モヤモヤしたことないかい

あと少しで手が届くようで届かなくて
モヤモヤしたことないかい

あと一歩
あと一歩であがるスゴロクのよう

ここで焦ってはいけない
他のものが見えなくなってしまえば
足を踏み外してしまうかもしれない

歪んだピースを無理にはめて
全部を壊してしまうかもしれない

ひとは最後の1ピースを掴むとき
頭に電光が走るような感覚になる
まるで
棋士が勝利を確信する一手を
手を震わせながら打つときのように

完成のときがきた
幸福感につつまれる

そこに到達するまでにかかる時間が
長ければ長いほど、喜びが膨らむ
そこに到達するまでにかかる苦労が
多ければ多いほど、喜びが愛おしい

簡単に手に入れたものは
すぐに無くしてしまう

時間をかけて熟成したものは
ときが経っても輝きを失わない

そういうものを僕も持ちたい
探し続けたい
最後の1ピースを