ひとは何も持たずに産まれ、何も持たずにこの世を去る
オリンピックの功労者は
表彰のスピーチでこう言った
ひとの一生を考察するのは
世界共通なんだと実感した瞬間だった
じつに哲学的で
じつに刹那的だ
どんなに貧しくても
どんなに苦しくても
この刹那を大事に生きなさい
ということなのだろうか
ひとは常に何かを得たいという欲求がある
ひとは常に何かに認められたいという欲求がある
安心して、美味しいものを食べることができる
安心して、快適に寝ることができる
この基本的な欲求が満たされている
豊かなわが国では
より大きなものが欲しくなるのだろう
このために眉間のシワが増えていく
貧しくとも
いま生きることの喜びを噛み締め
笑いジワを絶やさない
どちらが幸福なのだろう
もっとシンプルに生きていきたい
もっと身軽になりたい
そもそも
何も持っていないのだから