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ぜいたくなもの

贅沢なものとは何だろう

高級料亭
高級旅館

夏休み前の街なかには
ちょっと贅沢な旅を
謳っているポスターが溢れている
そんなポスターの前を
セカセカとサラリーマンたちが
チラッと見ながら通り過ぎていく

合理化に躍起になっている現代
いかに無駄を省くか
いかに効率的に利益を出すか
そればかりを考えてしまう

だから
休みの時くらいは
値段を気にせず過ごしたい
そう思うのだろう
高級という包み紙には
癒やしを与える力がある
そして
人びとにこう言わせてしまう
たまには贅沢してもいいじゃないかと

お金をかけるだけではない
時間をゆったりと使うのも
贅沢なことだろう

人間国宝柳家小三治師匠は
高座のなかでこんなことを言った

皆さん、連休ですよ、連休
本当だったら海外旅行にでもいって
休みを満喫しているところ
皆さんは落語を聞きにいらしてる
落語なんぞはくだらない話ばかりで
何の生産性もない
なのに
木戸銭を払っていらしてる
よくぞここまで
おいでくださいました
でもね
無駄とわかって
お金をかけて過ごす時間
これほど贅沢なもんは
ありませんよ

この話を聞いて7年たつが
未だに鮮明に覚えている
あのときの師匠の表情
そして
客席を包む
穏やかな笑い声

ぜいたくなひとときを