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ブラックホール・東京

毎年、旧盆になると

東京からゴソッとひとが消える

ひとがいない平日の地下道は

なんとも不気味な雰囲気を醸し出す

どこへ消えてしまったのだろう

 

子どものころ

父に連れられて

アメ横へ買い物に行った

上野駅のプラットフォームは

地方から出稼ぎに来た少年たちで

いっぱいになっていたんだと

懐かしそうに語っていた

金の卵とも呼ばれていた

希望の煙をはきながら

汽車に乗ってやってきた

 

あれから数十年

時代は変わってしまったようだ

上野駅周辺は

海を渡ってやってきた

アジア系の渡り鳥であふれている

彼らは金の卵を産み落とし

次の目的地へと飛んでゆく

 

あまりにも

グローバル化してしまった

世界中へ旅行に行かなくても

世界中の商品が

簡単に手に入れられる東京

 

あまりにも

インターネットが発達してしまった

店に出かけなくても

だいたいの日用品が

簡単に手に入れられる東京

 

金の卵たちによって作り上げられた

国際都市・東京

便利で豊かなこの街は

少年たちが

東京へ向かう汽車のなかで

思い描いた姿なのだろうか

 

強烈な引力によって

全国各地の若者たちが

東京へと吸い込まれていく

そして

地方から活力が消えていく

まるで

星星がブラックホールに吸い込まれ

静寂に包まれるように