さらば我が友

丸半年前のできごと
2月の寒い時期にしては春のように暖かな日に
あなたは突然逝ってしまいました
そういえば、私が生まれた日もこんな暖かく
穏やかな日だったと聞きました

最初に
あなたが一番言いたいであろう言葉を
言ってみたいと思います

次男

辛い思いをさせて悪かったね
最期、お前が観てくれてありがたかったよ
俺に似て真面目過ぎるところがあるから
ゆっくりとやれ
アセラナイ、アセラナイ


妻へ

いろいろ悪かったな
なんだかんだいっても
母ちゃんが一緒にいてくれて良かったんだよな
子供をここまで育ててくれて
心の底から本当に感謝しています


妹へ

ふがいない兄貴でごめんな
おまえは芯がしっかりしたとこが
親父に似ているから
これからもしっかり生きてください
いざとなったら
俺の自慢の家族が支えるぞ


いとこの皆さんへ

落ち着いたら、いとこ会でもやって
妹を招待してあげてください


職場の皆様へ

この度はご迷惑をおかけして
大変申し訳ありません
最後は辛かったですけど
昔やってた法律の話をしているときは
夢中になれて楽しかったです
若手の皆さんに
私の好きが格言を贈ります
 やってみせ 言って聞かせて させてみて
誉めてやらねば 人は動かじ


あなたはたとえ親しい間柄であっても
いつも、なんだか申し訳なさそうな表情を浮かべ
いろんなことを頼んでいました
これはあなたのまっすぐで純粋なやさしさと
できる限り完璧にこなしたいという
ストイックさ
矜持(きょうじ)の強さを
表すものに他なりません


次に
私に向けたメッセージを

長男へ

兄ちゃん
わりぃけど、あとのこと
うまいことやっといてくんねぇ~か
向こうの世界でうまいモン食わしてやるから


最後に
父ちゃん、謝らせてください
大学を卒業し、独立した私達兄弟にとって
あなたは友人のような存在でした
そのため、あなたがじいちゃんに対して
いだいている畏敬(いけい)の念ではなく
真面目すぎてちょっと不甲斐ないなぁ
という感情の方が強かったように思います

しかし
あなたの突然のサプライズに
度肝を抜かされました
あなたの死に様はまさに
今の日本に失われた"もののふ" そのものでした
あなたの死に顔を見て
あなたは私達にこう言っているように
聞こえました

どうだ!
これが俺の矜持(きょうじ)だ
お前らには到底真似できまい

してやったりの表情でした
いままで失礼なことを言ってすみませんでした
まだまだ修行が必要です

私達が何不自由なく
これまで生きてこれた事実そのものが
あなたの誇るべき生きた証です
それをお天道様が見て
じゃあ、そろそろお休みしてもいいよ
と言ってくれたのかもしれません

安心して次のステージに旅立ってください
威風堂々と

さらば我が父
さらば我が友