アドレナリン

正念場

長い旅路では

超えなければならない山がある

破らなければならない壁がある

 

それを前に

ひとは眼を閉じて、立ち止まる

瞑想の世界に足を踏み入れる

中央には噴水だけがある

まっしろで何もない

空(くう)の部屋に

ただひとり

眠るように坐っている

噴水からはまだ何もでていない

 

どれくらいの時間が経っただろう

頭の中からパチッと

スイッチが入る音がした

 

噴水から勢いよく

何かが吹き出してきた

吹き出した

無色透明なオーラは

霧のように漂いながら

カラダじゅうを包みこむ

パチッと目を見開き

眠りから覚める

 

カラダじゅうから力がみなぎってくる

スーパーサイヤジンに

なってしまったかのように

 

これまでのモヤモヤが吹き飛ばされる

泉のようにアイデアが溢れだす

そんな状態になったとき 

本来ではたどりつかないような

高いレベルのパフォーマンスを発揮できる

オリンピアンが快挙を成し遂げるように

 

アドレナリン

ひとをスーパーに変身させる

極限状態に追い込まれた

正念場にこそ与えられる

魔法のタービンだ

全開で乗り越えろ