信ずる力

『行深』

 

今年もこの日がやってきた

 

1945年のこの日

戦争が終わった

 

僕は当時を知らない

僕の両親も当時を知らない

僕の祖父母の世代しか知らない

 

しかし

いまは知るよしもない

 

ラジオの前で集まって聴く玉音放送

皆が正座で涙ながらに聴きいる

 

聴取率はほぼ100%

 

そんな光景を

小さな時に祖母の膝で聞いた覚えがある

 

あれから長い時が流れた

 

当時を経験された方々に刻まれた

苦しい思い

 

絶望に満ちた焼け野原から

必死に立ち上がろうとする

明日への希望

 

一人一人の深い志が

やがて

高度経済成長の原動力となり

アジアの奇跡を実現した

 

ひとは産まれてから

様々な苦しみによって

時には絶望的な状況にまで追い込まれる

 

どうしたら、この苦難から脱出できるだろう?

立ち向かっていくべきか?

ここは一歩引くべきか?

 

自らに問い続ける

深く深く考える

 

そんなとき

固く閉じていた目がパッと開き

視界が良好になる

 

この瞬間

ある言葉が浮かんでくる

 

腹を据える

 

 

ひとは目や耳や肌から入ってきた情報を

頭で理解し

それに対応するために

神経ネットワークを駆使する

 

より多くの情報を処理するため

表面近くで処理され

高速化される

 

早く処理できるが

それによって得られる情報は

どこか浅く

心に響かないものだ

 

ひとは深く深く

自分の頭で考え

やがてたどり着いた答えには

他のひとを動かせるほどのチカラがある

 

腹から出たコトバは魂を持ち

言霊となって伝わっていく

 

腹から腹へ

深いところで繋がる

 

そして

腹を据え

覚悟を持って歩みだす

 

道中はトライ&エラーの繰り返し

 

大木に阻まれることもあるだろう

霧に視界を奪われることもあるだろう

 

そんなときも

ひたすら前に向かって突き進む

この繰り返し

 

苦難があるからこそ

目標に一歩近づける

 

人生には

成功は約束されていないが

成長は約束されている

 

自分の決断を信じることができるだろうか

周りのひとを信じることができるだろうか

 

これには大きな勇気が必要だ

これには強い自信が必要だ

 

信ずる力がいま試される

 

腹を据えて行動し

自分自身の大地に根を張って生きる

 

そのヒントを探す旅に出発しよう

 

行深

 

この2文字から

人生の長い旅へ向かう

出発の汽笛が聞こえてくる