未来へのアプローチ

波羅蜜多

 
まず問いたい
 
あなたがいつも出てくるドア
そのシリンダーに刻まれている
メーカーの名を知っていますか
 
あなたが電車に乗ってきたとして
プラットフォームまでに上り下りした
ステップの数を覚えていますか
 
あなたがいつも使っている
クレジットカードに刻まれている
セキュリティコードを言えますか
 
よほどのことがない限り
答えは「否」であろう
 
 
このように
ごく日常のありふれた光景
 
流れ落ちてくる
情報の泉から
我々は
 
何かを受け流し
何かをすくいあげている
 
人間は忘れる動物である
 
 
1時間後には56%忘れる
 
つまり
半分以上の情報はすぐに捨てられる
 
捨てられるというより
すくいきれないのである
 
智慧の泉を
すべて飲み干せば
 
賢人になれる
不老不死になれる
 
苦しみのない世界に行ける
 
だけれど
すべて飲み干すことはできない
 
不完全こそ人間だ
 
隙間があるからこそ
隙間を埋める苦労があるからこそ
 
満たされる喜びを感じることができる
 
うまいことできているものだ
 
しかし
この本質に気づいていないひとが多い
 
特に日本人は
あるべき論に支配されている
 
ひとと同じところで待っていても
ひとと同じ器を持っていても
 
自分にとって
必要なモノはすくいとれない
 
自分のチカラを信じ
自分のフィールドを
ゆっくり歩いていけば良い
 
そんなとき
自分にとって大切なモノに
出会うことができるのだ
 
たとえ
結果が出なくても
 
たとえ
暗く寂しい気分になっても
 
コツコツと積み重ねていけば
それはやがて
未来へのアプローチとなる
 
過去は生きられない
 
未来にも生きられない
 
永遠に続く
いまこの瞬間を
思う存分に生きるがよい
 
 
ひとは何故生きるのか
 
 
それは最高の人生を歩むため
 
 
 
命尽きて彼岸に達するその瞬間
 
最高だったと満足げな笑顔を浮かべたい
 
未来へのアプローチ
 
それは
今を生きるあなたにしかつかめない