喜怒哀楽 --涙の数だけ

喜怒哀楽

春夏秋冬の季節が移り変わるように
様々な表情に移り変わってゆく

季節のように順番にではなく
めまぐるしく変化する

ピクニックにでかけた昼下がり

楽しげにお弁当箱を開き
好物の玉子焼が入っていて喜ぶ
よく晴れた青い空は
いつまでも続くように思われた

しかし

突然、厚い雲が現れ
空を覆い尽くす

怒りの雷
つらい涙の暴雨に襲われる


同じ空、同じ景色を見ている
希望の光は平等に降り注いでいる

それなのに
笑っているひともいれば
泣いているひともいる

人生のなかで
この喜怒哀楽の割合は
どのように配分されているのだろう

神が薬剤師のように
それぞれの処方箋によって
調合を変えているのだろうか


ココロから溢れ出た涙
涙が集まり
滝のように流れ落ちる

滝壺に立ち
冷たい激流にさらされながら
両手を合わせて考える

世の中
笑ってばかりいるひとがいるのに
なぜ、自分だけ
つらいことばかり起こるのだろうか


答えがわからぬまま
冷えた体をヒーターで暖める

熱いお茶を飲みながら
しみじみと語りだす


あっそうか

笑っているひとも
本当は哀しみを隠しているのかもしれない

自分は思いっきり泣くことができたけど
なかには、自分の奥深くにしまいこみ
それを隠すために
ピエロのように、道化師を演じている
そんなひとがたくさんいるんじゃないか



生老病死


生まれたときから
長く苦しい旅路がはじまる

とりわけ
辛いこと、哀しいことによって
行く手を阻まれるときがあるだろう


だけど
そんなときを乗り越えたひとは
誰よりもやさしく、強くなっている


哀しみの感情は
誰かを想うことで発生する
誰かのために捧げられる


哀しみの感情には価値がある


喜びと楽しみを2つ合わせて
ようやく釣り合いがとれる程に重い



喜怒哀楽

長い旅路のなかで
これらの感情は
バランスがとれるようにできている


順風満帆に来たひとには
哀しみを受け止めるチカラが
備わっていない

いまはうまくいっていたとしても
ちょっとした歪みが生じることによって
奈落の底に突き落とされるかもしれない



だから
これまでに涙の数が多かったひとは
自分を絶望したりしてはいけない



なぜなら


涙の数だけ
生きている楽しさを


涙の数だけ
活かされている喜びを


より大きく感じることができるのだから


どん底を知っているひとには
強力なサポーターがついている

もし、ピンチが訪れたときは

胸に手をあて
辛かった過去の自分に
問いかけてみよう



過去の自分
たいせつなだったあの人が
拳を天高く突き上げ
エールを送ってくれている



がんばるきみにえいこうあれ