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一国一城の主

どんな組織にも長がいる
どんな城にも主がいる

向上志向が強い者は
出世という階段を
ガムシャラに登っていく

登れば登るほど
後戻りができなくなる

登れば登るほど
落ちたときのケガが大きい

だからこそ
階段に吹きつける風に耐えながら
必死につかまり
登り続けていく


さて
登りきって到達した天守閣からは
どんな景色が見えるだろう

きらびやかな着物をきて
肘掛けに寄りかかり
優雅にアグラをかいているのだろうか


時代は流れて、今は平成の世
一番身近な一国一城の主を見てみよう

コンビニ

交差点ごとに乱立する
四角い天守

その一軒一軒には主がいる


みなさんの街にもコンビニがあり
店長さんが働いている

どうやら
城主というイメージからは
大きくかけ離れているような気がする


コンビニの使用頻度が多い人は
気がついているだろうが
昼間行っても
夜中に行っても
いつも
店長の姿を見るような気がする

彼らはお世話係もつけず
裏の事務所の扉から
商品ケースをかかえて
フラフラと登場する

栄養ドリンクを買う僕
バーコードを読み込ませる店長

疲れきったその姿に
思わず
会計したばかりのこのドリンクを
あげたくなるときがある

何故、そうなってしまうのか

詳しい事情はわからないが
一城の城主となると大変だ


コンビニ業界はここ数年
業績を伸ばし続けている


しかし

そこから生まれた利益は
どうやら城主のもとには
届いていないようだ


むかしむかしの戦国の世は
どの城主にも
天下を収めるチャンスがあった


だが
強い者がさらに強くなる
この平成の世は
城主であっても報われない

そんな状況が普通になって
皆もそれに気づきながらも
目をつぶって耐えている


トリクルダウン

富裕層の利益が水のように
下へ下へと滴り落ち
全体を潤す


そんな言葉が一世を風靡したが
今は聞かなくなった

地面に近いところは
乾ききっている


だから

滴り落ちてくる水を期待せずに
生きる方法を模索していきたい

いま登っている階段の先に
何があるのか
立ち止まって考えてみたい

登るのが辛ければ
無理して登り続けることはない

登るのが辛ければ
いっそのこと
下りてしまえばいい


城主が草履とりに戻ってもいいじゃないか