感受性

おんなじ景色を見ていても

おんなじ風に吹かれていても

 

なぜ、ひとはそこに

内面を映し出してしまうのだろう

 

沈み行く太陽

オレンジ色に照らされた水面に

浮かない顔が映し出されている

試合に負けた球児たち

ドロンコまみれのユニホーム姿

座りこんで、敗戦の悔しいに暮れる

 

ひとはマイナスの感情を味わったとき

周りからの情報を受信する

感受性が普段よりも研ぎ澄まされる

 

夏の日の正午

国民たちが正座して泣いていた

あの敗戦に涙している光景

 戦前生まれの先輩方が

少なくなってしまったが

当時の記憶は

驚くほど鮮明のようだ

 

特攻隊の青年達は

出撃の直前

吹いている風の匂いを感じ

木の葉のひとすじひとすじを見つめ

食堂で出されるみそ汁を味わう

 

人間は

生死の境に遭遇したとき

感受性が極限までに高められる

 

静かなるたたずまい

所作のひとつひとつが美しく

言葉には魂が宿る

 

研ぎ澄まされた 

先輩たちの努力によって

いまの生活がある

 

 

先輩たちに学ぼう

静かなるたたずまいを

 

先輩たちに学ぼう

美しく所作を

 

先輩たちに学ぼう

魂の宿った言葉を