さよならにさよなら

時の流れはグルグルと

回り回って巡りゆく
 
過ぎ行く時がグルグルと
螺旋を描いて
過去へと吸い込まれていく
 
同じ季節
同じ場所
同じ時間
 
カレンダーの上では同じ座標
Googleマップ上でも同じ座標
 
同じようだけど
ふと見ると
時のステップを一段上がっている
 
さらば、我が友
さらば、我が父
 
と語りかけたあの日
 
時が流れ
気がつけば
ステップを上がっている
 
命のつぶつぶが
水槽から消えたあの日
 
水槽の栓が抜かれるように
命のつぶつぶが
グルグルと渦巻きながら消えてゆく
 
肉眼で確認できなくなると
とたんに不安になる
 
闇の中を歩くように
腕を前に伸ばして
クルクルと回しながら
見えぬものを感じながら進んでゆく
 
辿る記憶の痕跡
 
澄み切った青空のスクリーン
 
柔らかな日差しによって
映し出される時空を超えた
ロードショー
 
今日は4Dシアターの公開日
 
ポップコーンを買ってもらった
少年のように
弾ける笑顔で観てみよう
 
あの日見えなくなった
命のつぶが
ひとまわりすれば
すぐそばにある
 
時間は螺旋の階段
 
さよならさえも繋がっている
 
エンドロールに刻みこまれる
懐かしいキャストたち
蘇る思い出
 
まだまだ続いている
 
知らない名前が続々と流れる
 
おやっ?
 
ふと気づく
 
そうだ!
今のストーリーは
遠い昔の祖先時代からの続編なんだ
 
命が運ばれていく
命を使って生きてゆく
 
そして
 
エンドロール後に
突然始まる次回予告
 
まだ出会ったことがないひとが
ヒカリのなかでいま待っている
 
未来は光に照らされた阿弥陀くじ
 
時間は光の階段
 
さよならさえも繋がってゆく
 
だから
 
さよならにさよなら
 
すべてのさよならに
 
さよなら